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合板

合板についてよくある質問

Q合板を耐力壁として軸組み構造に使用する場合に、普通合板と構造用合板では壁倍率にどのような差があるか。

A昭和56年建設省告示第1100号の別表第一において構造用合板を軸組み工法の耐力壁として用いる場合の倍率は2.5倍となっています。なお、使用できる構造用合板の厚さは5.0mm以上(屋外壁等の場合は厚さ7.5mm以上の特類に限る。)とされています。 
また、平成13年国土交通省告示第1541号の表一において構造用合板を枠組み工法の耐力壁として使用する場合の倍率は、耐力壁の種類とたて枠相互の間隔などの区分に応じて2.5倍から5倍の数値が掲げられています。 普通合板やコンクリート型枠用合板は、これらの告示のなかに含まれておらず、耐力壁として認められていません。

Q合板の膨張・収縮率を知りたい。また、素材と比較した場合ではどうか。

A合板の平均膨張率は、合板の厚さ、構成比(表板と平行の単板厚さの和/表板と直行する単板厚さの和)にもよりますが、厚さ6mm、構成比0.57のラワン合板の場合、含水率1%当たりの膨張率は、0°方向で0.023%、90°方向で0.021%程度です。
また、素材との比較では、吸・放湿に伴う合板の寸法変化率は、素材の繊維方向の2~3倍、繊維直行方向の1/20~1/10程度です。

Q合板の耐久性は、使用箇所が屋外と屋内によって違うと思うが、それぞれの用途によってどのくらいの年数を目途とすべきかを知りたい。

A合板の耐久性は、使用接着剤により変わってきます。フェノール樹脂を用いた合板は、野外環境に長期間暴露されても高い耐久性を有しています(3プライ合板を15年屋外暴露した場合で残存率は50%程度)。表面処理を施さない合板は、単板の劣化が激しく、接着層よりも単板の寿命に左右されます。木造住宅の外壁下地に使用した例では、実際の使用環境下で約20年経過後の強度性能は、規格基準値を満たしています(木造住宅の構造材に使用される場合、使用環境は暴露環境よりゆるやかなため)。
ユリア樹脂を用いた合板は、屋内では長期の使用が可能ですが、屋外では接着剤の劣化により3年程度ではく離しています。
合板の耐久年数は、長期間経過後のデータも少なく、難しいことですが、屋外環境にさらされる恐れのある場合は、JAS特類合板に表面処理を行って使用することが必要です(メラミン・ユリア樹脂接着剤使用の合板では、屋外暴露1年が20℃90%RH環境下のほぼ10年にあたるという換算理論が提案されているようです)。 ※木材工業ハンドブックから引用。監修者:独立行政法人 森林総合研究所。

Q合板の熱伝導率を知りたい。

A接着層及び熱圧縮による密度増加等の影響が無視できる場合は、素材と同一です。合板の密度が0.55(g/cm3)の場合で0.11λ(kcal/m・hr・℃)であり、密度0.46~0.60のラワン材と同じです(いずれも気乾状態、20℃における値)。

Q合板を壁面に使用した場合の遮音効果について知りたい。

A音に対する合板のパネルの性能は、外部の騒音を遮断する性能と、侵入した音ならびに内部で発生した音を収める吸音性能があります。
吸音に対しては、合板固有の吸音機能と小さな穴を開け、多孔質材料(インシュレーション、ハニカム等々)で裏打ちする吸音機能があるが、薄い合板だけでも低周波域で大きな吸音性能を有しています。
パネルの遮音性をあげるためには、壁を厚くするか、複合構造にするのが有効です。透過損失(dB)についての例として、ラワン合板(6mm)で2000Hzに対して24dBです。透過損失が大きいことは、遮音性能が良いことを意味します。

Qラワン合板が雨にぬれたので、そのまま立てかけておいたが、表面が部分的に黒色状に汚れてきた。この原因と汚染を除去するにはどうしたらよいか教えて欲しい。

A汚染とは、一般に材の正常な色以外のものを示す場合を言い、材中の成分の化学作用に基づく場合、他物の付着による場合、変色菌におかされて着色する場合などがあります。
この場合は、雨水によるものということで、酸による変色(汚染)が考えられます。除去方法は、過酸化水素水や亜鉛素酸ナトリウム等の漂白剤で脱色します。また、著しい汚染には、過酸化水素水に10%アンモニア水を1~3%添加したものかあるいは1%程度の水素化ホウ素ナトリウム水溶液が有効のようです。

Q合板の反りを少なくするには、製造時どのようなことを注意すべきか。

A合板の単板構成が厚さ、寸法変化率、弾性率などの点で中立軸に対して対象でない場合、裏割れが多い場合、繊維傾斜が著しい場合、又は単板の乾燥度が不均一な場合等に反りが生じます。反りの原因は、水分変化によるものが多く、製造時の単板含水率を気乾状態に近づけることで少なくすることができ、熱圧後に平面の状態にして冷却することも効果があるようです。

Q合板の完全耐水性と高度耐水性の違いは何か。また、JASの特類、1類及び2類との関係はどうか。

A昭和28年に制定された合板の日本農林規格(JAS規格)が昭和39年に廃止され、新たに制定された普通合板の日本農林規格において、接着性を示す等級は1類、2類及び3類とし、「1類は、長期間の外気及び湿潤露出に耐え、完全耐水性を有するように接着したもの」、「2類は、通常の外気及び湿潤露出に耐え、高度の耐水性を有するように接着したもの」及び「3類は、通常の耐湿性を有するように接着したもの」と定義されていました。 普通合板には「特類」という等級はなく、また平成11年に改正されるまでこの定義のままでした。
その後、合板の用途も拡大し合板の規格もこれに対応する形で制定され、その一つに構造用合板の日本農林規格があり、「特類」が新たに加えられました。現在の合板(普通合板、コンクリート型枠用合板、構造用合板、天然木化粧合板及び特殊加工化粧合板を一体化したもの)の日本農林規格では次のように定義されています。

特類:屋外又は常時湿潤状態となる場所(環境)において使用することを主な目的とした、特類に対応する試験の接着の程度の要件を満たす合板の類別をいう。
1類:コンクリート型枠用合板及び断続的に湿潤状態となる場所(環境)において使用することを主な目的とした、1類に対応する試験の接着の程度を満たす合板の類別をいう。
2類:時々湿潤状態となる場所(環境)において使用することを目的とした、2類に対応する試験の接着の程度の要件を満たす合板の類別をいう。

このように現在は完全耐水性又は高度耐水性という用語は使われなくなりました。

Qコンクリートの硬化後、コンクリート型枠用合板を離脱すると、コンクリート表面に樹種の一部が付着していた。これを防ぐにはどのような方法があるか教えて欲しい。

Aむしれは、材質、単板品質、木裏、木表の別等で左右されるようであり、健全な材から裏割れ、面粗さの少ない良質単板を使用し、木裏面を外側にしないようにすればかなり防止されると考えられます。JAS規格では、表面加工を施したものも対象となっていますので、この方が、むしれに限らずコンクリート表面の硬化不良の恐れもなくなります。

Qコンクリート表面の硬化不良の原因とその防止対策について知りたい。

A硬化不良は、樹種により差がありますがアルカリにより抽出される糖類が原因といわれます。特に、長時間の光照射(長時間の暴露)を受けたものに顕著に現れます。
防止対策としては、前項と同様表面加工を施したコンクリート型枠用合板の使用をお勧めします。

Qコンクリート型枠用合板を使用した場合に、硬化後のコンクリート表面が褐色状に着色することがある。この原因と、着色した色を取り去るにはどのようにしたらよいか。

Aセメントはかなり強アルカリ性であり、遊離したアルカリが木材のタンニンやリグニンと反応して変色を引き起こすといわれ、合板表面の劣化に注意して使用することが大切です。また、樹種によってその度合いも異なります。
着色した色を除去するには、軽度の汚染にはシュウ酸水溶液、重度のものは過酸化水素水(2%程度)が有効のようです。
最近は、合板表面に塗装を施した表面加工コンクリート型枠用合板もありますので、使用時に検討してみて下さい。

Q表面無塗装のコンクリート型枠用合板で、中板に針葉樹を使用したものと広葉樹を使用したものでは、どちらが比重の値が大きいか。通常どのくらいの値か。

Aコンクリート型枠用合板に使用される樹種は、通常、広葉樹ではラワン類、針葉樹ではカラマツ、最近ではスギなども考えられます。
合板に使用するラワン類の密度は、0.50~0.65位であり代表値として0.55、カラマツの密度を0.50、スギを0.38としますと、中板に広葉樹を使用した合板のほうが密度は大となります。ただし、合板の構成比で変わりますので、ここでは、同一の構成比として考えます。

Qプリント合板の表面がマジック等で汚染されたものを拭き取るには、どのような溶液のものを使ったらよいか。

A水溶性のものであれば、洗剤を含ませた布で拭き取ることができますが、油性のものであれば、エチルアルコール類で拭き取ることができます。シンナー等を含ませた布で合板表面をこすると、表面の塗料まではがれる恐れがあります。

Qカナダ合板規格では、表裏面の品質及び接着性についてどのような等級か。また、実加工は任意なのか。

Aカナダ合板規格(CSA)は、表板にベイマツ(ダグラスファー)を使用したものと、ベイマツ以外の針葉樹を使用したものがあります。表裏面の等級は、標準のグレードとして、表板はA、B及びC、裏板は、A(両面仕上げグレードのみ)及びC、内層単板は、Cとあり、表板と裏板の組合せによりその等級が表示されます。接着性については、EXTERIORの表示がされます。実加工については任意のようです。なお、詳細は「カナダ林産業審議会」の日本事務所がありますのでそちらへお問い合わせ下さい。

Q構造用合板には、許容応力度が決められているか。その数値を知りたい。

A建築基準法施行令または国土交通省告示等には構造用合板の許容応力度に関する規定はありません。なお、参考にすべきものとして、日本建築学会にて刊行した「木質構造設計基準・同解説」において、JASに規定される構造用合板1級に応じた許容応力度(曲げ、引張り、圧縮)が定められています。

Q合板から放散されるホルマリンの量は、時間が経過するにつれてその量が減少するといわれるが、どの程度まで減少するか。

Aホルムアルデヒド放散量の経時変化は、放散量の初期値、換気回数等に影響されるので一律にはいえませんが、合板等の放置試験では、デシケータ値が3?5mg/Lの合板を換気回数4.0回/hr程度の室内に放置すると、放置条件にもよりますが早ければ2週間、遅くとも6週間で1/3以下になる報告もあり、放置時間の経過に伴って減少するものと考えられます。しかし、換気が十分でない場合、特に高温多湿の状態では3ヶ月程度は当初の気中濃度が低下しないこともあります。

Q普通合板の板面の表示で、1等又は2等と表示するものとA-B又はB-Cと表示するものがあるが、この違いについて知りたい。

A合板のJAS(普通合板の規格)では、表板に別表1の広葉樹単板を用いたもの、別表1以外の広葉樹単板を用いたもの及び針葉樹単板を用いたものごとに、表面の品質基準が規定されています。
表板に広葉樹単板を用いたものについては、その基準(別表1の広葉樹単板を用いたもの又は別表1以外の広葉樹単板を用いたもでの内容は別になっている。)は、1等又は2等でありその何れかの等級を表示する。また、表板に針葉樹単板を用いたものについては、A、B、C及びDの4つの基準が規定され表板と裏板の品質によりその記号を組合せ表示する。例えば、表板の品質がBで、裏板の品質がCの場合はB-Cと表示します。

別表1
ヤナギ科、ヤマモモ科、クルミ科、カバノキ科、ブナ科、ニレ科、クワ科、カツラ科、モクレン科、クスノキ科、マンサク科、バラ科、ミカン科、ツゲ科、モチノキ科、カエデ科、トチノキ科、ムクロジ科、シナノキ科、ツバキ科、ウコギ科、ミズキ科、カキノキ科、ハイノキ科、エゴノキ科及びモクセイ科

Q輸入合板を購入したが、ホルムアルデヒド放散量の表示がないので検査機関へその試験を依頼した。測定結果は、2.77mg/Lであった。JAS規格の性能区分による表示では、Fの星いくつに相当するか。

A合板のJAS規格では、ホルムアルデヒド放散量の表示は、採取した試料合板(2~5枚)の試験結果が、表示の区分に応じ平均値と最大値により規定されています。この測定結果についてJAS普通合板の最大値のみを当てはめると、F☆(7.0mg/L以下)に相当します。

Q海外で製造された合板で、ホルムアルデヒド放散量の表示のないものがあるが、その製品に対してホルムアルデヒド試験証明書を添付することのみで流通するものがある。現物の製品と証明書が一致するかの疑問もあり、適正な表示をするよう指導できないものか。

A海外の合板製造工場がJASの認定を取得するには、登録認定機関に申請し認定された後に、認定工場が自己格付します。海外の場合は、登録認定機関が本会のみでなく、外国にも存在します。普通合板は、JASマークを表示するにはホルムアルデヒド放散量の表示が義務付けられていますが、コンクリート型枠用合板及び構造用合板は、この表示は任意となっています。
このことはご指摘のとおりであり、本会に関係する認定工場につきましては、このようなことがないよう徹底し、理解を頂いています。他のケースも考えられるので、その場合は行政機関への相談も必要と思われます。

Q合板の密度(比重)を教えて下さい。規格に定められているのでしょうか。

A合板は、パーティクルボード、OSB、MDF等のボード類のようなチップ、木片、繊維を圧縮して成型する木質面材料のように製品厚によって密度が異なることはなく、また、接着剤の製品の占める割合も少ないことから、合板を構成している単板の樹種が全ての層において同じであれば、その単板の樹種の密度をその合板の密度として問題ないと考えられます。合板のJAS規格にも密度の規格はありません。

*例えば、樹種ラワン(レッドメランチ)の密度が、0.50ですと、500kg/m3、1m3は合板寸法 厚さ12mm 幅、長さ3×6尺(900×1800mm)の場合で約50枚分となり、100枚分の総重量は約1トンとなります。

Q“コンパネ”とは?

A“コンパネ”とは、コンクリート型枠用合板のことです。塗装が施されているものは、「塗装コンパネ」と呼ばれています。
誤って、製品厚12.0mm、幅、長さ3×6尺(900×1200mm、910×1820mmなど)のサイズの合板を“コンパネ”と総称するものと思われている場合があります。

Q厚みが大きくなるにつれて曲げヤング係数が小さくなる理由。また、厚さ9mmより12mmの強度が高いことを説明できる測定項目、数値。

A実際に、同じ幅×長さの合板に同じ荷重をかければ9mmより12mmのほうが、たわみ量は少なくなりますので、12mmのほうが強度は高いことは明らかですので、曲げヤング係数の基準値は、厚い合板の基準値は厚さの薄い合板の基準値より低い設定でも問題ないと考えられます。
また、厚さの薄い合板は構造用合板としての耐力を考慮して比較的高く設定されているとも言えます。
下記の計算式は1級の曲げヤング係数の計算式で、下が小試験体の試験方法の場合で、2級と同じです。
計算式の詳細な説明は省略いたしますが、Δy(たわみ量)が少ないと言っても、h(厚さ)の3乗が計算式上ですが大きく結果に係わってきます。

曲げヤング係数(GPa 又は 103N/mm2) = 23ΔPℓ3 108bh3Δy

曲げヤング係数(GPa 又は 103N/mm2) = ΔPℓ3 4bh3Δy

「厚さ9mmより12mmの強度が高いことを説明できる測定項目、数値。」につきましては、1級の曲げ強さの基準を規格にてご覧になりますと、これも合板の厚さの薄いほうが基準値が高く、上述と同様と言えます。
実際の破壊荷重となりますと、下記は1級の曲げ強さの計算式で、上は針葉樹、下はラワンなどの広葉樹の場合となります。
1級と2級の製品の違いはほぼ無いとおもわれ、JASにおいては曲げ試験が1級の場合は小試験体にて実施と、面内せん断試験の実施をするのみの違いとなります。

この式に、9mm、12mmの曲げ強さの基準値を結果の数値として、逆算してPb(N) (最大荷重=破壊荷重)を算出しますと強度の違いがわかります。
尚、Pbは単位がN(ニュートン)となりますので、1kg=9.8Nとしてkgにするとよろしいでしょう。

曲げ強さ (MPa 又は N/mm2) = Pb bh2

曲げ強さ (MPa 又は N/mm2) = 3Pb 2bh2

Pbは、最大荷重(N)
ℓは、スパン(mm)
bは、試験片の幅(mm)
hは、試験片の厚さ(mm)
△Pは、比例域における上限荷重と下限荷重の差(N)
△yは、△Pに対応するスパンの中央たわみ量(mm)

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